#11 生成AI時代の地方工務店の攻め方①
建設業界においても業務のDX化が加速しています。
3次元モデルに仕様などを追加することにより積算、現場監理などを含めすべての業務を効率化するシステムやPDFの基本図面から概算見積をはじきだすシステム。
敷地に決められた法規を入力し、建て主の要望をある程度入力すればAIが間取りを瞬時につくってくれるシステムなどなどAIの発達により今まで人がやっていた仕事をAIがより高いクオリティで行ってくれるようになりました。
この流れは今後も加速していくことは間違いないと思われます。
実際の業務においてこれらのシステムが小さな地方工務店まで全ておりて来ている程汎用化されているわけではなく、大企業などがシステム導入を進めているといった感じが現場の肌感です。
しかし、今後2025年4月からは4号建築物の構造計算の提出義務や省エネ計算の提出義務など設計業務においてやらなければならない業務が圧倒的に増加することによる人手不足は問題になるのではないかと懸念しています。これらに対して業務のDX化は急務と言えるでしょう。
それゆえ生成AI時代においてAIとはうまく付き合っていく必要があると言えます。
生成AI時代において、もはやデザインできないものはなくなると言ってよいと思います。
『オシャレな家』『カッコいい家』『映える家』『家事動線の良い家』などなどこれらは何万件もの事例を読み込ませたAIにとってはお手の物で、ものの数分でデザイン可能になります。
このような事実から考えるともはや『設計士』というものは要らない存在と言っても良いのかもしれません。
また工事監理や工事の施工においてもDX化は加速して現場監督や将来的には職人すら不要になる時代がくるかもしれません。
『では地方工務店は何をすれば良いのか?』
設計をはじめる際に初めに行うことは敷地の調査です。
これには敷地に定められた法規や、電気、ガス、給排水設備の整備状況、敷地の形状、高低差などがあります。これらの条件をAIに読み込ませれば住宅のプランは出来上がるわけですが、
敷地には人にしか感じとれない特徴があります。
『この方角からの景色が綺麗だな』
『敷地の高低差を活かせば面白い建築になりそうだ』
『元々ここにあった建物は先祖代々受け継いできたものだから残したい』
など
AIには土地を生成することはできません。
AIには『まち』を生成することはできません。
特に歴史ある街並みなどは一瞬でデザインをしてしまうAIにはつくることは不可能です。
そしてもうひとつAIに生成できないものは『家族』です。
そこに住まう人々はなにかの縁でつながった『家族』であり『人』の集まりです。
『人』はそれぞれ個性があり、それが集まる『家族』もオンリーワンの性格を持っています。
これは今のところ人でなければ読み解けない『感情』の表現です。
表面的にはAIにもニーズを把握することは可能ですが、実際には潜在的に秘めているその『人』だけのニーズが隠れていることがあります。その潜在ニーズは人にしか掬い取れない部分なのではないでしょうか。
我々が建築する意味
生成AI時代において様々なシステムやDX化が進んでいることは肌で感じています。
しかし、我々としてはAIとうまく付き合いながらも我々にしかできない建築を追求していきたい。
その為のヒントになるのが
『土地』と『人』
です。
屋久島の樹齢数千年の縄文杉はAIにはつくれない魅力があります。
同じように我々が扱う『土地』も、そこに住まう『人』も世界に一つしかないものでAIではつくれません。
この『土地』と『人』を最大限に活かすことによりオンリーワンの建築をつくりたいと思っています。
今日はコムズカシイ話を偉くもないのに偉そうに語ってみました。
でも、今の時代に生き残るためには自分たちにしかできないことを考えることは大切なことなのではないでしょうか。
AIがなんでもしてくれる時代はどんどん加速していくでしょう。ちゃんと考えておかないとそのうち自分の仕事も居場所もなくなってしまうかもしれません。これは我々工務店に限らず全ての業種に繋がる話でもあるように思います。
地方の工務店が生き残るために『今』できることをコツコツやっていきたいと思います!!
ではまた