大工の見習い  No.2

大工の見習い No.2

2022.03.15
トヨちゃんの回想録

床(とこ)についてもよく眠れなかったが、気づくと朝になっていた。

(さぁー、今日から!!)

と思って起きると、親方は食事をしていた。

奥様が言うには

食事は親方より後から箸を持って、先に箸を置くこと。

箸をつけた物は残さない事。どんなにまずくても…。

僕は食べたかどうかわからないような気分のまま、

古びた自転車に乗って現場に行った。

その時は木造で学校の校舎を新築中でした。

使いすぎたようなノミとをカナヅチを与えてもらい、穴掘りから始まり…

師匠も私のことが気になるらしく、

30分~1時間に1回、ものも言わずに立って見ていた。

中学校を卒業して直ぐだったので、

朝7時40分ぐらいから昼までの時間が長い事…。

やっと昼の弁当を食べ終わり、他の職人さん達は休憩。

私もその近くで腰を下ろして居ると

「コラ!!ノミでも研いでおきなさい!!」と、師匠。

そうか、弟子なんかには休む時間や休憩などはないのか。

これも勉強の第一歩だ。

                   つづく

トヨちゃんの回想録『大工の見習い』

有本建設 創設者である有本豊敏が丁稚時代を語る。