家を相続したら 知っておきたい解体費用と手続き
昭和初期の家屋 すでに寿命?
「家」は日常生活を送るための道具であると同時に、思い出が詰まったかけがえのない宝物でもあります。できることなら、永遠に残っていて欲しいですよね。
しかし、どんな家も老朽化は進みます。日本は気候風土のこともあり、かつて「木造住宅の寿命は約30年」と言われていました。
現在は100年近く長持ちするハイグレード住宅もありますが、昭和期に建てられた家屋は、すでに寿命を迎えていると考えていいでしょう。
ご両親にご不幸があって家を相続することになっても、すでに寿命を迎えた家では安心して暮らすことができません。
それほど古くない家でも、さまざまな事情から「取り壊し」という辛い決断に至ることもあります。
大切な家を取り壊すことになった上、さらにトラブルに見舞われたのでは、淋しさがひときわ身にしみることでしょう。そうならないためにも、取り壊しをする際に知っておきたい情報をご紹介します。
家の解体費用 相場は?
木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造によって、取り壊しにかかる費用は変わってきます。
相場はありますが、建物が密集している都市部では、小型の機材を使用するため、日数と人件費がかかります。また、田んぼや畑に囲まれた広々とした場所とは違い、ほこりや廃材が飛び散らないよう養生シートで覆う必要もあります。したがってトータルの費用は高くなる傾向にあります。
取り壊し費用の坪単価相場
東京都 | 全国平均 | |
木造 | 3万円~5万円 | 2万円~3万円 |
鉄骨造 | 4万円~5万5000円 | 3万円~4万円 |
鉄筋コンクリート造 | 4万5000円~6万5000円 | 4万円~5万5000円 |
たとえば東京都で60坪の木造住宅を取り壊す場合は、最低でも180万円程度はかかるでしょう。
ここで紹介した坪単価は、基礎の撤去や廃材の処理費用、人件費まで含んだ価格です。解体業者によって見積もりに書く項目は違うので、あくまで目安と考えてください。
住宅を養生シートで覆う「仮設工事」、トイレや風呂、ガラスといった設備を取り除く「内装解体」など、作業工程ごとに細かく見積もりを書く業者もあれば、すべて合算して「工事一式」の金額しか書かない業者もあります。
見積を取った場合は「基礎の撤去をして、最終的に道路と同じ高さの平地になるのでしょうか」というように、どこまで工事に含まれているのか確認するのが賢明です。
特に、廃材の処分費用は金額に差が出るポイント。取り壊し工事によって出る廃材は、法律で処分方法が決められており、工事費の半分近くは、廃材処分費にあたります。
自社で処分場を持っているような大手の解体業者に頼めば、工事費が抑えられる場合もあるでしょう。
取り壊し工事に必要な手続き
家を取り壊すには、さまざまな届け出が必要になります。必要な手続きをひとつずつ見ていきましょう。
電気・ガス・水道などのライフラインの停止
解体工事を行う前に、まずは電気・ガス・水道・電話・ケーブルTVといったライフラインを停止する必要があります。
手続きは業者によってさまざまです。電話だけで停止できるもの、書類を郵送するものもあります。
申請に時間がかかる場合もあるので、余裕を持って手続きを始めて、工事が始まる前に確実に止めておきましょう。
建設リサイクル法の申請
延べ床面積が80平方メートル以上の建物を取り壊す場合は、建設リサイクル法の届け出が必要になります。
正式名称は「建設工事に係る分別解体等及び再資源化等の届出」といい、住所や工事内容などを記した書類を工事の1週間前までに市区町村役場に提出します。
法律では施主が届け出をすることになっていますが、ほとんどの場合は、施主が委任状を書いた上で解体業者が代理で行っています。
誰が届出をするのか、しっかり確認しておくのがよいでしょう。
道路使用許可の申請
工事車両を道路に駐めて作業する場合は、道路使用許可の申請が必要です。
申請書に駐車方法を記した図面を添えて、所轄の警察署に提出します。また、申請には数千円程度の証紙代が必要です。
こちらもほとんどの場合は、解体業者が行います。
近隣説明会などの開催
工事の前に近隣への説明会の開催や、看板を設置しての告知が義務付けられている自治体もあります。
この手続きも、ほとんどの場合は解体業者が代行してくれますが、念のため建物のある自治体の役所に確認してみるのがいいでしょう。
建物滅失登記
土地や住宅を取得した際には、法務局に届け出をして登記簿に記載をします。建物を解体した際にも、同じように法務局に届け出をして、登記簿から削除してもらいます。
この手続きを「建物滅失登記」といい、解体工事完了から1ヶ月以内に行う必要があります。
期限を過ぎると10万円以下の罰金が科せられることがあるので注意しましょう。
建物滅失登記をしていないと、登記簿上では建物が残っていることになるため、固定資産税がかかってしまいます。余計な課税をされないためにも、建物滅失登記を忘れないようにしましょう。
建物滅失登記に費用はかかりません。法務局の窓口で方法を聞いて、自分で行うこともできますし、委任状や印鑑証明を手配すれば解体業者が代行してくれることもあります。
また、4万円程度の依頼費用で司法書士や土地家屋調査士などに代行してもらうことも可能です。
土地を受け継ぐ 「建て替え」という選択
取り壊した後に、その土地をどう活用するのか考えておくことも大切でしょう。
売却するのではなく、新しい住宅を建てるという選択肢もあります。最近の住宅は、外壁などの品質も向上して寿命が長くなりました。80年以上も長持ちするハイグレード住宅なら、子供や孫に受け継いでいくこともできます。
また、そうした住宅を建てることで土地自体の資産価値を高めることもできるのです。
建て替えというと「自分たちが住む」というイメージが強いかもしれませんが、高い資産価値をもつ新築住宅には、さまざまな活用方法があります。
土地や家屋の資産価値を長期的に維持するためにも、不動産の活用について知っておいた方がいいことはたくさんあります。
思い出の詰まった大切な土地や家を守るために、いざという時に備えておくのはいかがでしょうか。
お悩み、ご相談があればお気軽に有本建設までご連絡ください。