突然の車椅子生活 実家をリフォームか建て替えか

突然の車椅子生活 実家をリフォームか建て替えか

2022.08.28
家づくりお役立ち情報

バリアフルな実家での車椅子生活

車椅子で生活をする人が自宅で快適に過ごすためには、バリアフリーな環境を整える必要があります。
筆者は、もともとは一人暮らしをしていましたが、ある事情から車椅子生活をすることになり、それを機に実家で暮らし始めました。

ところが、実家は築数十年のバリアフルな住宅。そのまま生活するには困難な環境でした。

住み慣れている実家で暮らすのは安心感があり、できないことは家族に手伝ってもらえるというメリットがあります。
一方で、バリアフリーではない住宅環境では、自身でできることが限られてしまい、QOL(生活の質)の低下に繋がる懸念もあります。

実家の改修履歴

筆者の実家は、バブル時代に建てられた注文住宅です。
当時の住宅は、間仕切りに段差のない“バリアフリーな造り”の家もありましたが、まだまだ珍しかったと思います。

実家に戻って来た頃は、私も家族も不安しかなく、お互いに一杯一杯で、些細なことで喧嘩ばかりしていました。
玄関から室内まで段差だらけ。家事動線すら考えられていない家では、家事の手伝いをするにも一苦労……。
実際、専業主婦の母も使いにくいと嘆いており、健康な人にも住みやすいとは言えない家でした。

住宅環境を整えるためには、リフォームか建て替えという選択肢が考えられるでしょう。
筆者の場合は、全てを一度に改装する金銭的な余裕がなく、実家を建て替える可能性もあったため、優先順位の高いところから少しずつ手を加えていくことになりました。

まずは、玄関にスロープを設置しました。敷地の関係上、自分でスロープを昇り降りできる勾配は確保できませんでしたが、家族に介助してもららい、外に出る機会が増えました。

その後はトイレと浴室に手すりを設置し、浴室と脱衣所の段差をなくしました。
部屋と廊下のドアの段差は、市販されている段差を解消する小さなスロープ状のものを利用して対処しています。
車を購入した後は、駐車スペースをコンクリートに変更しました。

リハビリによって生活状況が改善したり、病状の悪化などで必要な設備が変わったりすることがあります。
そのため、改修をしても次から次へと課題が見つかることもしばしばです。

住宅改修では、先の生活まで見越して行う必要があります。
今思えば、スロープではなく昇降機を設置していれば、車を運転できるようになった現在、一人で外出することもできたのですが、スロープをつけた後では、スペースや予算の都合で難しいのが現状です。

リフォームか建て替えか まずは専門家に相談を  

高齢や病気、障害により既存の住宅で暮らすのが難しくなった場合、住宅を改修するための費用は自治体から補助が出る場合があります。
身体の状態や自治体によって受けられる補助の内容は異なりますが、ほとんどの場合が補助金だけで十分な改修をするは困難です。

しかも、構造上どうしても変更できない柱などがあると、移動する範囲が限られてしまい、改修でできることには限界があります。

また、住宅改修をしても、家の寿命が伸びるわけではありません。
基礎や躯体の劣化、地震によるダメージ、性能低下等は改修ではどうにもできません。

住宅の性能は、この数十年でかなり進歩しました。
バリアフリーを意識していなくても、段差はほとんどなくなり、高気密・高断熱化により冷暖房費も抑えられ、家の中の温度差が少なくなってヒートショックを予防することができます。
住宅の寿命によっては、建て替えをした方が費用を節約できる場合もあります。

建て替えか、改修かを判断するには、長期的な資金計画や、現在の家をどの程度住みやすくできるかなど、専門的な知識が必要です。

悩んだ際には、資金計画のプロ(ファイナンシャルプランナー等)、福祉のプロ(ケアマネージャー、福祉相談員等)、住宅のプロ(施工会社スタッフ、建築士等)など様々な分野のプロに相談してみるのはいかがでしょうか。

お悩み、ご相談があればお気軽に有本建設までご連絡ください。