大工の見習い No.12
2022.08.31
トヨちゃんの回想録
新築の準備中、大工小屋にたくさんの木材があった。
「おはよう、トヨちゃん棟上をしたそうなが。ようやった。」
兄弟子も手伝いに来ていた。
「でも、誰にでも出来る『センチ大工』になったらいけんで!!」
また、今日から貫穴堀りの仕事、約120本の柱が自分の受け持ちとなる。
兄弟子は得意げに電気ドリルとか言う道具を見せてくれた。
「昼休みに使ってみろ。」
『嬉しい』と思った。待ち遠しかった。
昼が来た!!弁当を食べるのもそこそこに、兄弟子に簡単な説明を聞いてドリルを持って柱の上に乗せ、スイッチを押した。
あっという間に穴が開いた。上に引くと、ドリルの先が上がってきた。
ドリルの屑を右足で、払いのけようとした。
その時、ドリルの先がズボンの裾に触れ、あっという間に太ももまで巻きついてしまった!
「危ない!!」
兄弟子がそばにあったヨキで電気ドリルのコードを切ってくれ、やっと止まった。
「馬鹿野郎!なにしょんなら!!」
大声が耳に入ってきた。
スミマセンと兄弟子が謝ってくれた。
僕は、心臓が止まりそうだった・・・・・・
つづく
有本建設 創設者である有本豊敏が丁稚時代を語る。