大工の見習い No.19
2022.12.07
トヨちゃんの回想録
足は痛かったが自転車に乗って約27キロの舗装されていないガタガタ道を一生懸命でやっと夕方に姉の家にたどり着いた。お爺さんが縁側に腰を下ろしていた。
「今日お姉さんはいますか?」
「おらん。あんたの家に帰っとる。」
そんな…やっと来たのに困ったどうしよう。
これから僕の家行って親方の家に帰るとなると、暗くなるし帰れない。
どうしようと思いながら自転車に乗って少し後戻りをしたところで、
「どうしたんなら、トヨ?」と声。
それはお姉さんの主人だった。嬉しい!!地獄に仏とはまさにこのこと。
「お姉さんに会いに来たんじゃ。」
「そうか、まぁうちに行こう。」
この主人はとても良い人。胸の中に飛び込んでいける人。僕はとても好きだった。助かった。後から付いて行った。
義兄はスイカを取ってやろう。と、家の前の畑に向かった。
お爺さんは、そんなものが食えるか。スイカの中も暑いわ。
まぁ、何にもないから。と言いながら、スイカを切ってくれた。
「おい、食べよう。」
つづく
有本建設 創設者である有本豊敏が丁稚時代を語る。