大工の見習い  No.25

大工の見習い No.25

2023.03.01
トヨちゃんの回想録

墨付けも出来、親方にも見てもらいOKが出て、切り込みに入った。

間違いが無ければよいが、梁と中置の重ね合わせが違ったりしないように…

そんな事が気になり、一日がアッと言う間に過ぎて行く。

「オイ!梁のあり付けが終ったらしいが、切り口のヒカリ(寸法)は取ったのか!」

「ハイ、この板に寸法を書いています。」

「だせ、わしが桁の方に写すから!下がりは違ってないだろうな?」

「ハイ、二度ほど確認しましたので間違いありません。」

「そうか。」

それにしても親方の切り込みのスピードは早い。

僕の切り込み仕事を見るばかりする筈だと思った。

こうして仕事を比べてみると進行状況が良く分かる。

まだ2年を少し過ぎただけの僕は親方には歯が立たない。

自分では一生懸命やっているつもりでも、まだ未熟である。

                                つづく

                      

 トヨちゃんの回想録『大工の見習い』

有本建設 創設者である有本豊敏が丁稚時代を語る。