大工の見習い No.7
2022.05.24
トヨちゃんの回想録
古びた自転車に道具箱を積んで、お施主様の家に行きおはよう「おはようございます。」
すると、奥の方から「トヨちゃんか」と声がして外に出てこられた。
「おい。今日からやってくれるんか、ワシが木材を並べたんじゃが、いけんかえ?」
「いいえ、ありがとうございます。」
「まあ、ケガをせんようにな。」
図板は昨晩 家で書いて来たので、早速木取をし 墨付けに取りかかった。
このお施主様は農業をしているので、時間的にも『のんきな人』
「おい、トヨちゃん。住み込みというやつは気兼ねがあろうがな。」
「お前、飯は腹いっぱい食べさせてくれるんか。」
「親方は厳しいか。」
「一人前の大工になるまでは、石にかじりついても頑張れよ。」
気を遣ってくれているのか、暇つぶしにされたのか。
私は墨付けをしながら、ただ、「はい、そうです。」・・・・
つづく
有本建設 創設者である有本豊敏が丁稚時代を語る。