#14 災害時に地方の工務店が出来ることについて考えてみた

#14 災害時に地方の工務店が出来ることについて考えてみた

2024.10.04
有本の取り組み

こんなことが出来たらいいなぁというお話です。

2018年西日本豪雨により岡山県では大きな被害にあいました。

岡山県は瀬戸内海と中国山地に抱かれ、温暖な気候と晴れの日が多いことから『晴れの国』と呼ばれています。また降水量1ミリメートル未満の日数が全国第1位で、全国平均の247.3日よりも28.6日多い、年間275.9日となっています。

瀬戸内海も四国と本州に挟まれた内海でありますし、地震もほとんど起こらないことから災害にあまりあいにくい地域として思われていましたが、2018年の西日本豪雨では倉敷市真備町を中心に大災害を経験することになりました。
報道はあまりされていませんが、実際には真備町以外でも床上浸水の被害や、河川敷の遊具の崩壊など至る所で被害が見受けられました。



世界的に有名な建築家の坂茂氏という方をご存知でしょうか。
建築界のノーベル賞といわれる『プリツカー賞』を2014年に受賞しています。

日本だけでなく世界をまたにかけて素晴らしい建築をつくられています。
富裕層と呼ばれる方の住宅や、公共建築、大規模ビルなど様々な建築をつくっていますが、坂氏は今ほど知名度もない時期から、通常の建築活動に加えて被災地支援を行ってきました。
被災地支援は日本だけにとどまらず世界中で災害や紛争があれば、そこを訪れて自ら役人と交渉をして支援を行います。

坂氏が行う被災地支援は建築家として出来ることを徹底的に考え抜いて、そこで求められることを、被災地でも可能な形で提供しています。

例えば東日本大震災や熊本地震、西日本豪雨、能登半島地震の際など、避難所である体育館などに
『紙管』と『布』で構成される避難所間仕切りシステムを提供しています。

画像は坂茂氏の公式HPよりお借りしました。


避難所において、それぞれの家族間のプライバシーの確保が精神的にも求められることに長年の被災地支援活動で気づき、現地で調達できる部材で、簡単に、そして早急に設置可能な間仕切りをつくることを考えました。


『紙管』と呼ばれる紙で出来た柱を立てて、それにホゾを設けて紙管を差し込んで梁をつくる単純な構造です。坂氏は『紙管』を用いて実際の建築や教会などもつくっています。

私は坂氏の活動に建築家の存在意義のようなものを感じ、とても尊敬しています。
我々の活動拠点である岡山県でもまたいつ災害に見舞われるかは分かりません。
そんなときに、工務店として何かできることはないかと思うようになりました。
我々は主に木造建築を扱っており、建築現場ではどうしても木の余りが発生してしまいます。
このような木を用いて、災害時に役立てるものをつくれたら地域に貢献できるのではないかと考えています。
まだ具体的なプランがあるわけではありませんが、坂氏のような取り組みができれば、
『地方の工務店が存在する意義』があるように思います。

災害はいつくるかわかりません。
明日くるかもしれません。
何かできることをひとつずつ始めていきたいと思います。


今回はこんなことができたらいいなぁというお話でした。

ではまた