#27 頑固おやじ
自戒を込めた余談です。
私は建築業界一筋で建築学科の大学卒業後ずっとやってきました。
たくさんの物件に携わってきてその度に多くのお客様や職人さん、営業さんと仕事をしてきました。建築業界には他業種から転職してきた人もたくさんいますし、文系出身の方もいます。
また私自身関東、関西、中国地方、四国と数多くの都道府県で建築をしてきた経験があります。地域によって価値観が異なることを知りました。
お客様の中には若いご夫婦からご高齢の方まで幅広い年齢の方の建築を担当してきました。こだわりの強い方もいれば、お任せしますと言われることもあります。
木造だけでなくRC造のマンションの設計なども携わってきましたが、いわゆるゼネコンさんと仕事をすると木造だけを建築する工務店とは全く違った仕事の仕方をしていることを感じました。
様々な年齢の方、様々な業種の方と関わる中で、それぞれの言い分は十人十色で、各々に何かしらの事情を抱えていることを想像しながら仕事をしています。
色々な工務店や業者さんと仕事をする中で、それぞれの会社さんには各々のやり方があってそれを理解しながら折り合いをつけていくことは常に意識しているつもりです。
有本建設には有本建設のやり方があって独自のルールがあったりします。でもそれは有本建設のルールであって他の会社からしたら常識外であることも往々にしてあります。
自社の常識が他社の常識であるとは限らないことは自分が思っているようで理解できていないこともあってそれを相手に押し付けてしまうことは正直に言ってあるのではないかと思っています。
もしかしたら自分の常識は世間とズレているのではないか
今の若い人にとっては古い考えで自分の辿ってきた経験を押し付けてはいないかとふと考えることがあります。
有本建設には建築業界一筋の人もいればそうではない人もいます。それぞれ別の会社や業界で培ってきた経験や働き方を持っています。
年齢を重ねてくると今まで自分が辿ってきたやり方が正しいと思い込みがちです。でもそれは本当に正しいのか。そんなことを常に考えるようになりました。
ひとつの建築を作るには100人以上の人が携わることも少なくありません。
自分が設計した建築を多くの人の協力のもと作り上げていくには、頭でっかちの『頑固オヤジ』ではよい建築を作ることはできません。
設計者はその中心にいて、携わってくださる方々をひとつにまとめあげていく必要があります。その為には頑固オヤジではなく、それぞれの方の言い分に耳を傾けて、協議をし、ときには言い合いになることもありますがお互いにリスペクトをもって信頼関係を築く必要があります。
今までの経験を活かしつつ柔軟性をもって仕事に向き合いたいと思います。
また設計者自身が何としても良い建築を作りたいという熱をどれだけ周りの人と共有できるかが建築のクオリティーに大きく影響します。
『この建築は自分が作ったんだ』と胸を張れる人がたくさん携わった建築にはその熱がこもってよい建築となります。
私自身、他の方が設計をされた色々な名建築を全国で見てきました。
その中でも、入った瞬間に身震いをするような熱を感じる建築に出会うことがあります。
小さな地方の工務店ではありますが、熱のこもった建築を作り上げていきたいと思う今日この頃でした。
ではまた