大工の見習い  No.33

大工の見習い No.33

2023.06.21
トヨちゃんの回想録

今日は仕事を休んで姉の家に鯉のぼりを持って行く。

おかみさんに鯉のぼり代のお金を借り、約50kmの舗装もしていない道をボロの自転車に乗って行った。

姉は家の前にある畑で仕事をしていた。

「おい、おネェ!」

「トヨかー?どしたんなら?」

「いや、今日はな、孝博に鯉のぼりを持って来た。」

「家から来たんか?親方の家から来たんか?」

「親方の家から来たんじゃ!」

ふうん。と、意味ありげな顔で、

「ありがとうよ~孝博も喜ぶわ〜。良い子で大きく育つように…」

孝博の顔を見せてもらい、

「可愛い寝顔じゃな~ええ子になるわ~。」

「まぁお前よりはええ子になろうで。」

「そうじゃ、そうじゃ。」

話も終わり食事もさせてもらって帰って来た。

家に帰るとおかみさんが「お姉さんは元気だった?」

「ハイ!!」

翌日からは一山越えたところへ仕事に行く。

                                つづく

                      

 トヨちゃんの回想録『大工の見習い』

有本建設 創設者である有本豊敏が丁稚時代を語る。